旅の報告34/USAアラスカ
デナリ国立公園バックカントリー・キャンプ&マッキンリー展望ハイク8日間
今年から新たにツアー・ラインナップに加えたアラスカ・デナリでの本格キャンプ&トレッキングツアー。早速、ご参加いただいたご夫婦から日記風のレポートをいただきました。
8/9~10 & 8/12(2012年)
成田は離陸が多少遅かったものの、順調なスタートだったのですが、向かい風が強いとのことでかなり遅れてシアトルに到着。入国審査に非常に時間がかかり(到着が遅れたことで他の便と一緒になってしまったことや、軍関係者専用レーンができたこと、並んだ列の数人がいろいろチェックされ、入国審査官が何回も席を離れたこと等が理由のようでした)、わき目もふらず移動したのに、アンカレッジ便の搭乗口についたのは、最終案内のわずか 5分前!!でした。あーあせったあせった!!しかしその分、逆風になるというアンカレッジ便はかなり早く到着し、出迎えガイドの安藤さんをあわてさせたようです。
その後の 2日間のフリータイムはシップ・クリーク(Ship Creek)に遡上してきた鮭を見に行ったり、サンデーマーケットをのぞきに行ったり、レインディアのホットドックを芝生に寝転がって食べたり、バスでミッドタウンに出かけて REI をはじめとするアウトドア用品店を物色したり、アンカレッジミュージアムに行ったりとアンカレッジの町を楽しみました。地元のマーケットをのぞくのが好きですが、サガヤズマーケットもなかなか面白かった!朝食はここで買い物した食材でサンドイッチを作って食べていました。もちろんディナーでサーモンベイクも食べましたよ!ちょっと心残りだったのは、動物園にいけなかったこと、かな。
マーケットで見つけた海苔巻きと福神漬けの缶詰
ハリバットとサーモン量り売り
なんてでかいズボンなんじゃぁ~!
8/11・日帰り26氷河クルーズ
たくさんの動物たちに会い、そして氷河が海に崩れ落ちる瞬間を見る幸運にも恵まれました!天気がよかったので氷河の青さが際立っていたように思います。鏡のように静かな水面に氷が浮かび、青空や氷河、山々が映る姿にはため息が出ました。アラスカ鉄道の旅もなかなかよかったです。帰りの列車はガラガラでした!
ラッコはみな同じ方向を向いていました
サプライズ氷河
8/13
現地サポートの安藤さんにツアー会社のオフィスまで送ってもらうも、約束の 08:30 を過ぎてもツアーに参加するメンバーは誰も現れず、結局準備を整えて出発したのは 11時近かったような・・・。メンバーは、ガイドのアンディと、まだ修行中?の陽気なジュリア。NYから参加のベジタリアン?の夫婦ジョーとリサ、低音が素敵な青年ライアンに元パイロットのOさん、同じ千葉県から参加のMさんと私たちで総勢 9名。
車で、入り江沿いのベルーガが見えるポイント等をいくつか回り(残念ながら何も見えませんでしたが)、 Girdwood(だと思う)の飛行場から 2機に分乗していよいよフライト。これは、わくわくする初体験でした!でも、高度からくる低酸素のためか眠気が襲ってきてあくびがとまらない。ふと見るとパイロット以外はみんな寝ている!!私はこの貴重な時間を無駄にすまいと、深呼吸をして何とか耐えていました。(笑)
氷河湖に着水するときのスムーズさにはびっくりしました。飛行機は、あっという間に飛び去ってしまい、湖岸でまずランチ。ルース氷河の向こうに Moose-Tooth と槍ヶ岳をずらりと並べたような山々。何の苦労もせずして、こんな場所にいるのがとても不思議でした。荷物を手分けして持ち、キャンプサイトへ。この途中で前後にザックを抱えていて足元がよく見えていなかったうちのだんなが不安定な岩に足を乗せてしまい、ふくらはぎを痛めてしまうハプニング。あ~あ。その後はテント設営組と荷揚げ組みに分かれて準備。二人でも十分な広さのテントが夫婦以外は一人一張りという贅沢な環境にびっくり。おまけに近くの水場の水はそのまま飲めるというし、トイレはりっぱな便座つきバケツが用意されるしで至れり尽くせり。
キャンプサイトは北海道のトムラウシ南沼のキャンプサイトにそっくりだと思いました。囲む岩場で鳴きうさぎの声が響き、雷鳥が遊び、近くの丘にはガンコウラン(Crowberry ?)やコケモモ(Cranberry)がなっている。ただ、目の前を流れる氷河と、遥か彼方に続く山並みのスケールがまったく違う。なぜだか目の前にあるにもかかわらず、スクリーンに映っている映像を見てでもいるような気がしました。
氷河湖に着水。無名峰の下にはルース氷河
私たちのベースキャンプ
Crowberry&Cranberry
正直に言うと、私はキャンプのベースをもっと標高の低い草原(ツンドラ?)で張るのだとばかり思っていて、ここにはグリズリーもムースもいないよと言われたときにはちょっとがっかりしたのです(雪のある山岳地帯の岩場にテントを張るのは、私には珍しいことではないので)。でも、植村直己がめざし、今もどこかで眠っているマッキンリーの白い姿を見、何のトレースもないコケや岩場や氷河を踏みしめて歩きながら、とてつもなく贅沢なことをしているのだと感じました。まして、山に登らない人にしてみれば、こんな場所にテントを張って眠るなんて、そうあることではないですね。
アンディが2台のガソリンバーナーを駆使して作ってくれた様々なものがミックスされたパスタを、食器兼調理器具の大きなポットでたっぷりと食べた後も、日はいつまでも沈まず、明るいうちにシュラフにもぐりこみました。
ホッキョク・ジリス
ライチョウ
キャンプから
8/14
朝は7時過ぎになってお湯が用意され、それぞれが好きな飲み物を飲みながらおしゃべりをして、朝食のスクランブルエッグ入りトルティーヤができるのを待ちました。私も少々お手伝いをさせてもらって食事作りを楽しみました。今朝の食事係ジュリアはアンディにアドバイスを受けながら朝食作りをがんばっていました!ほとんどがフリーズドライ状になっている食材をお湯や水で戻して混ぜたり熱したりしていくものでしたが、一品料理ながら毎回量もたっぷりで、必ずデザートに重量級のケーキやクッキーがついて、ボリューム満点!
ハイキングは 11:30 にのんびりスタート。足が痛いうちのだんなはジュリアとお留守番。ワインを飲みながら、読書にふけっていたようです。本人は不本意だったでしょうが、これもすごい贅沢ですね。
沢沿いのコケの上を歩く
モレーンに続く稜線
青空ランチ!
バックサイド氷河と雲間のマッキンリー
Mt.McKinley
私たちは氷河を見下ろす小高い丘まで歩き一休み。はだしになる人、寝転んで本を読む人、ぽけ~っと過ごす人と思い思いにのんびり。休んだ後は夫婦をここに残し、あとの4人でさらに高みを目指しハイペースで歩き出しました(足長いのですアメリカ人は)。どこまでいくのかわからぬままついていくと、そこに待っていたのはカーブする氷河の大きな流れとその後ろにそびえるマッキンリー、ハンター、ハンティントンの白い頂でした!澄んだ空気と計り知れないスケールの雄大な眺めに満足。下るのが惜しかった!
この日の Lunch は午後4時!キャンプに戻ったのは 18:40 頃でした。
8/15
今日は全員そろって 11:00 にキャンプを出発。しばらく氷河の右岸を歩き、ガラガラの斜面を下って氷河の上へ。さすがに氷の上風が冷たい。リュックに付けた温度計によると気温約10度。でも体感温度はもっと低いと思います。青く光るクレバスを覗き込みながら上がっていくこと 3時間弱。この氷河が今も少しずつ流れているなんて・・・。氷河の上は滑ることもなく、想像したよりもずっと歩きやすかったです。
氷河上でランチをとり、氷河上を戻って 17:30 頃キャンプ着。
この日の夕飯には私が持ってきていたアルファ米とちらし寿司の元で(前菜だねとジュリアは言っていました)ミニすしパーティーで盛り上がりました。みんなの口に合ったようで喜んでもらえよかった!ライアンがお箸が上手でびっくり!(寿司は時々食べに行くらしい)
「目」「手」「歯」「どうもありがとうございます」等、日本語教室もうけていました。
8/16
最終日、朝から雲が多く時々雨も降ってくるお天気。山はガスの中。これじゃ、飛行機も飛べないねぇと空を見上げてみんなでつぶやく。でも、この日の朝、テントのすぐ後ろの山を歩くBlack Bearを見ることができました。
朝食はシリアルで簡単に済ませて白いガスの中を7人で出発(リサとジュリアは留守番)。水場にしている沢に沿って歩いていくと、その先には大きな滝が待っていました。白い霧と雨の中、ごうごうと落ちる氷河からの水。この滝は後で飛行機からも見ることができました。全容を見渡すとそのスケールの大きさに驚かされます。でもこの滝には名前もないのです。日本だったら、小さな滝、小さな頂一つ一つに何らかの名前が付けられるだろうけれど、ここでは名前を持たないもののほうがずっと多い。圧倒的な自然の前では人間なんて本当にちっぽけな存在でしかないと「No name !」とアンディが首をすくめて言うたびにそう思うのでした。
昼前にキャンプに戻り、それぞれが荷物をまとめる間にガスは晴れてきました。13:30 に撤収を始め、2回のピストンで荷物を湖岸に降ろして 15:00 過ぎには私たちはセスナで氷河湖を後にしました。あぁ・・・もう帰るのか。去りがたい気持ちで、あたりの景色をもう一度目に焼き付けました。でも、ほんのちょっと目をそらしただけで、その映像はふわぁっと遠い世界の映像のように頭の中で滲んでしまう気がするのです。美しい写真はたくさんあるけれど、その場に行ってみなければ決してわからない広がりや大きさや空気・音(静けさも含めて)がある。今ここにいる自分、いられる自分がうれしいと、果てしなく広がる原野を見下ろしながらしみじみ思った旅でした。
全員でツアー会社のオフィスに戻った後は、コンテナの荷物を降ろし、再びアンディとジュリアに車で空港や宿泊先まで送ってもらい、あっという間の 4日間のキャンプは終了しました。
撤収の時。ルース氷河をバックに
赤のカッパがだんな、緑のフリースが私です
マッキンリーをバックに
カメラマンは私
ドラム缶を背負っているのはライアンです
8/17
早朝、まだ暗い朝 5時(アンカレッジで暗い時間に動いたのはこのときただ一度でした。夜遅い時間でもいつも明るかったので、なんか変な感じでした)。宿泊の Days Inn の車で送ってもらい空港へ。アンカレッジを後にしました(搭乗口に人が増えないなぁ、と思っていたら、いつの間にかゲートが一番奥に変更になっていて少々あわてましたが・・・)。帰りは乗り継ぎにも余裕があり、シアトル空港で買い物等もすることができました。10時間強のフライトで成田に帰国。10日間の旅は無事終了しました。
日本にいて仕事に追われていても、アラスカの氷河を歩いているのも時間としては同じ一日。あとどれだけあるかわからない人生のうちに、まだ見てみたいもの、経験してみたいものは沢山あるなぁ・・・と改めて思った良い旅でした。
たくさんお世話になったワイルドナビの福山さん、アンカレッジの安藤さん、アンディとジュリア。そしてキャンプでご一緒した素敵な仲間たちに心から感謝します!!アラスカには冬にも行かなくっちゃね!
(以上です)
USAアラスカ●
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