旅の報告(2019年8月)
バンクーバー島西海岸・カユーケットサウンド シーカヤック・キャンプ・ツーリング9日間
2019年の8月(8/31発)に実施した、カナダ・バンクーバー島西海岸/カユーケットサウンドシーカヤック・キャンプ・ツーリング9日間ツアー。同行ガイドの辻井隆行さんのレポートです。
最後に訪れたのは2002年だったかな。バンクーバー島の西海岸に浮かぶ無人島スプリング・アイランド。1998年の夏に3か月を過ごした懐かしい場所へ。今回は、館山でシーカヤックショップ・ソルティーズを営む山本勉君、そして8名のお客さまと9日間の旅を共にしました。
夜中にラッコが貝殻を割る音を聴きながらウトウトし、ワタリガラスのコロンコロンという鳴き声で目を覚ます。苔むした原生の森を歩き、この地で何千年も暮らして来た先住民の居留地跡を訪れて、全てが土と水と空気に還る太古の暮らしに想いを馳せてみる。熊と狼と鯨の気配を感じながら海岸線を漕ぎ進み、夜はレッドシダーの流木で起こした火を囲んで皆の話に耳を傾ける。
98年にきっかけを与えてくれた私のシーカヤックの師匠の柴田丈広さんからのご縁が繋がっての今回の旅。そう考えると感謝と感慨深さで一杯の気持ちになります。帰国してから一ヶ月近くが経ちましたが、せっかくなので、いつものように自分への備忘録的に旅の写真とコメントを残しました。カナダ西海岸の自然と文化にご興味のある方はご覧いただけたら幸いです。
初日は近くの海で足慣らしならぬ腕慣らし。みんなバンクーバー島での初カヤックにワクワク
島々に守られたスプリング・アイランド周辺の小さな入江
倒れたトウヒをふかふかに覆う苔。スプリング・アイランドの森は原生のまま現在に受け継がれた貴重な沿岸性温帯雨林
17年ぶりに再会したヌチャヌルス族カユーケット村の長老クリス。二年前に酋長だったケビンを亡くしたと聞いて心配していたけど笑顔が見られて嬉しかった。お互い年は取ったけど、元気でいられてありがたいな
スプリング・アイランドのテントから見える朝焼け
先住民は「老人のヒゲ」と呼んだ草類。ペニシリンと似た効能があるのだそうです
郵便局と雑貨屋を兼ねたカユーケット村唯一の商業施設。郵便は週一回水上セスナで届きます。200人の先住民と数世帯の白人家族が静かに暮らす小さな村。勉さんとこの場所に来れる日が来るなんて
白頭鷲。ハクトウワシ。アメリカの国鳥。僕がグループの後方でふざけてるのもきっと観てたんだろうな
何故か群れを外れて村の桟橋前に一人で暮らすことを選んだラッコのオス。人間と一緒で変わりものもいるんですね
カユーケット村
群れを代表して!?偵察に来たラッコさん
ラッコの群れ。全部オスです。ラッコの秘密を知りたい方はツアーでおまちしています
左端は同い年のデイブ。17年前はチーフガイドだったけど、今はこのガイド会社ウェスト・コースト・エクスペディションを買い取り、経営もしています。本業は大学の先生。右から2番目は、当時2歳だった先住民のライアン。今はここでアシスタントガイドをしていると聞いて、そりゃ、デイブも僕も歳をとるよね、と
長老クリスから全てを受け継いだ7番目の娘ラナ。自分たちで捕った天然の銀ジャケをレッドシダーを使って調理してくれました。日本人と先住民は好物も似ています。カマ、いくら、皮。それからウニ、子持ち昆布、アワビ。あー、また食べたくなった。
今回は外洋のうねりも風も雨もない、奇跡的な天気に恵まれた一週間でした。いつもは結構自然の大変さを味わえるんだけどなー
海だけではなく、森の養分をたっぷり含む真水と海水とが出会うサンクチュアリも漕ぎ上がります。遡上するサケのように
何なんだか分からなくなっているんじゃないかと心配していた倒れたトーテムポール。でも考えてみたら、もう数百年もこうして横たわっているのだから、僕が訪れなかった17年で朽ち果てる訳ないですね。これは熊のクラン(家系)を現すクワキュートル族のトーテムです。うつ伏せに倒れて顔の左半分が見えてる感じ。左から耳、大きな目、口。わかります?
先住民居住地跡。とは言っても全てが土と水と空気に還る木の文化なので、想像力が必要です。「ほら、周りの樹齢1,000年の木と比べると、樹齢数百年の低い木に囲まれた平らな場所があるでしょ?ここにロングハウスがあったんですよ」とはガイドのデイブの言葉。最近、カナダ西海岸沿岸には少なくとも14,000年前から先住民が暮らしていたことが考古学的に証明されたそうです
倒れたトーテムの上から栂の木が生えて育っています。こうやって倒れた木は次の命を育んでいきます
今夜はオープンキッチン
このキャンプには2泊。まだまだ魅力的なごろた石のビーチがたくさん
読書のふり。持っていく本は自然にまつわるものが良いですね。僕は間違えて日本史の本を持って行きましたが全く頭に入りませんでした、笑。星野道夫さんとかはやっぱりスッと心に染みてきます(山本勉談)
森から透けて見える三日月、焚き火、テントの灯り。寝るのがもったいない
ツアーには2人乗りもあるので、初級者の参加でも安心です
今回の航程。みんなよく漕ぎました!
焚き火(参加者の方の作品)
自然のサインに注意を払って、ただ目的地を目指すだけのために全員が協力し合って過ごす毎日。便利なものは何もないけど、シンプルで意義深くて濃厚な時間。
とにかくもっと多くの方々と分かち合いたい場所なので、来年以降も続けたいと思っています。(同行ガイド/辻井隆行)
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(2019年8/31発)
〇カナダ・バンクーバー島西海岸
カユーケットサウンド/シーカヤック・キャンプ・ツーリング9日間
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