石坂博文さんの Column
2016ヨーロッパ・アルプス ツアー日記 3
モンブラン・ガイド登山 登頂記
8月20日〜21日
ワイルド・ナビゲーションのアルプス登頂ツアー
モンブランの登頂に向けたトレーニング編です。
今シーズンの8月下旬のモンブランの登頂。こちらも成功に向けて、作戦を練りながらトレーニングに出かけます。シャモニー到着の翌日から、通常ならば2泊3日の行程とするところですが、今回は全体の日程が短いため短縮プランで1泊2日でエギーユ・ドゥ・トゥール(3,535 m)を目指しました。
今回のお客様は、今年2回のフルマラソンを完走しているとのことで、心肺能力や、体力的には問題はないので、トレーニングでは急斜面でのアイゼンワーク、岩場の下降のトレーニングを中心に、レイヤリング等の細かいアドバイスを重点に行いました。
トレーニング初日はあいにくの雨の予報。雨がひどくなる前に山に入るべく、朝一番のテレキャビンとリフトでバルムまで上がり、そこから標準のコースタイムが2時間半の行程を、1時間半で小屋に上がってみたものの、お客様に疲れた様子は全くなく頼もしい。
小屋でのランチは、サヴォワの郷土料理の代表格の一つタルティフレット(ジャガイモの上にチーズをのせてオーブンで焼いたグラタン風のアルプスの山岳料理)。そして、お昼寝。アルプス登頂に向けた朝は早い時間からの行動になるので、前日のお昼寝(シエスタ?)は欠かせません。
いつもは、小屋の目の前の氷河に降りてアイゼンワクークやクレバス・レスキューのトレーニングをしますが、この日はあいにくの土砂降り。そこで、山小屋で明日のトレーニングの打ち合わせを行いました。標高をあげた山小屋での滞在も、重要な高所順応です。
食事は夕方の6時半。かぼちゃのスープとクスクスとカリカリチキン。さすがに鶏はフランスのシンボルだけあって本当に美味しい。なんでフランスはこんなに肉が美味しいのか、スイスから来ると実感します。ちなみに、クスクスはフランスではポピュラーな主食系のモロッコ料理です。
なぜか、小屋のご主人からワインをご馳走になり(皿洗いを手伝ったからか?)、アルプスの食後酒のジェネピーで夜を締めくくり、夜9時には就寝。明日に備えます。
トレーニング2日目は、エギーユ・ドゥ・トゥール(3,535 m)の山頂を目指します。朝5時半に起床して食事をとり、6時に出発。4時にチェックした時点では小屋の周りはガスで真っ白で、不安もありましたが5時には青空も見え出し、そんな不安は一気に吹っ飛んで一安心。
朝食はコーヒーか紅茶かココア、そしてシリアル、パン、パンケーキ、オレンジと盛りだくさん。希望すればオプションでランチパックも頼める。アルプスの山小屋は快適だ。
6時に出発。今日は知り合いのイタリア人ガイドのブブのグループと、なぜか抜きつ抜かれつとなりながら、Sツールのコルを抜けて9時には山頂について、がっちりと握手。前日の雨で少し凍った箇所もありましたが、最期の岩場はアイゼンなしで行けました。
通常の2泊3日でのトレーニングの際に使うトリアン小屋のご主人で、ガイドでもあるオリビエとも山頂付近で偶然に会って挨拶。蛇足になりますが、今年の春のオートルートのツアーの際、飛行機の遅延で小屋の予約をキャンセルした件のお詫びを伝えると、「来春、待っているよ」と言ってくれて一安心。彼はちょっと気難しいのですが、なぜか私には優しくしてくれるのがちょっと嬉しい。
下山時は、昨日の夕食時に一緒だったチェコのガイドグループと抜きつ抜かれつしながら良いペースでおりましたが、残念ながら、昼過ぎのバスには間一髪で間に合わず、モンロックから電車でシャモニーに帰着。翌日からのモンブラン・アタックに備える事になりました。
ラッキーなことに、明日から最低でも5日間は晴天が続く予報。逆にアプローチの難所、グラン・クールアールがドライになりすぎないと良いのだが、幸いにも気温は低めなので、マネージメント可能な範囲であることを願う。
(サッポロ・マウンテンタイム/石坂 博文)
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